ニーズとウォンツ
前回の続き
下請から1匹10円で仕入れることを決め、3日ほどで50匹は集まった。仕入は現金取引なので、いわゆる「現物取引」であるため「先物取引」と比べれば、メリットもデメリットも少ないが、実際にはこの一回だけでカブトムシの卸業は辞めている。予想がつくと思うが商品は生き物であるがゆえ寿命という期限付きである。よってリスクだけは持ち、仕入数が販売数より上回ってしまったからである。
小学生で単純にバカだからだと思うが、「カブトムシ以外に欲しいものは?」と聞き取りをし、天然のナメコやクルミを販売を決めた。
ニーズとウォンツの違い
夏休みと行動力のある子供ができることを、自社の強みのサービスと考えれば、まさに「シーズ(Seeds)」といえる。またここでの需要は、怪しいおっさんではあるが確かな消費者としての「ニーズ(Needs)」であることは間違いないのである。
提供した商品は変わったが、中学3年までこのビジネススタイルで5年間近くできたのは、おっさんのニーズというのは、実は消費者の本質の欲求である「ウォンツ(Wants)」を捉えていたからだと今は推測できる。
私たちがビジネスを行う上で、顧客ニーズをリサーチし事業を組み立てる場合が多いが、実はニーズではなくウォンツを見極める必要がある。
例えば、観光立国日本はインバウンド病に侵されたかのように「フリーWi-Fiの提供」が訪日外国人観光客の最大のニーズと考えている。フリーWi-Fiは、通信事業社やコンビニ、コーヒースタンドなど充分なほど提供されている。しかし、アンケートでは日本にはフリーWi-Fiがないと答える。
確かにフリーWi-Fiはインバウンドの重要なニーズではあるが、本質は一元化された認証方法でどこでも繋げることや、繋いだときの新鮮な情報が豊富か、良質なサービスが提供されていないからなのではないか。つまり、ウォンツを検証しないままニーズに踊らされていると感じてならない。